原状回復義務について

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部屋を実際に借りるときに、「原状回復義務」について、説明されるわけである。

言葉だけをとらえると、「借りたときの状態に戻して返すこと」と思われるが、

実際にはそうではないのである。

2020年4月から民法が改正され、通常損耗や経年劣化については原状回復義務を負わないことが

明記されたからである。

かつては、この原状回復義務は明確ではなかったので、多くのトラブルが発生していたのであるが、

法律で明確になったことで、解釈の余地がなくなったといえるのである。

例えば、壁にカレンダーで画鋲を張ったりするのは、普通の暮らしの中の出来事なので

問題ないということなのである。

では柱に釘を打った場合にはどうだろうか?

これは程度問題である。例えば、配線のために小さな釘を打ったような場合は、

日常生活のものとしてみなされるが、大きな釘や木ねじをバンバン打った場合には、

原状回復義務が生じるわけである。

このあたりの細かい内容については、国交省がガイドラインを出しているので参考にしてもらいたい。

(以下抜粋)

■原状回復義務の範囲外
賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの

項目考え方
【壁、天井の画鋲、ピン等の穴】
クロス張りの場合。下地ボードの張り替えが不要な程度のもの
ポスターやカレンダーなどを貼ることは、通常の生活の範疇。そのために使用した画鋲、ピンなどの穴は、通常の損耗と考えられる
【壁に貼ったポスターや絵画の跡】クロスなどの変色は、主に日照などの自然現象によるもので、通常の生活による損耗の範囲と考えられる
【エアコン設置による壁のビス穴、跡】
賃借人所有のエアコンの場合
エアコンはテレビと同様に一般的な生活をしていくうえでの必需品になっている。その設置のために生じたビス穴などは通常の損耗と考えられる

※出典:『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』(国交省)
賃借人の使い方次第で発生したりしなかったりするもの(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)

項目考え方
【壁、天井のクギ穴、ネジ穴】
クロス張りの場合。重さのあるものを架けるために開けたもので、下地ボードの張り替えが必要な程度のもの
重さのあるものを架けるためのクギ、ネジ穴は画鋲等に比べて深く、範囲も広い。そのため通常の使用による損耗を超えると判断されることが多い。なお、地震などに対する家具転倒防止措置については、あらかじめ賃貸人(家主)の承諾、またはクギやネジを使用しない方法などの検討が考えられる
【天井に直接付けた照明器具の跡】あらかじめ設置された照明器具用コンセントを使用しなかった場合は、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多い

※出典:『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』(国交省)

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